考えたこと

いつものように小松菜の収穫していたところどうも葉っぱの様子がおかしい。ところどころ白っぽくなっていて、「なんだ霜でもあたったのかな?」と思っていたら青梗菜にも同じ症状。注意して胚軸をよく見ると中に無数に動めく黒い点…
もしやハクサイダニ…
嫌な予感は的中。リーフレタス、紅菜苔、のらぼう菜、これから収穫する作物すべてやられていました。1週間前は順調だったのに…。
ハクサイダニは研修中からその恐ろしさを聞いてきた虫。このダニのやっかいなところは寒さをもろともしなく、天敵らしい天敵もいない点。効く農薬すらもあまりない。いまのところ無敵なのです。外見は黒と赤のいかにも悪そうなコントラスト。集団で激しく作物の汁を吸い、最終的にゾンビの様に白く枯らす。発生してしまったら農家は黙って死んでいくのを見守るしかないのです。
「ハクサイダニの怒りは大地の怒りもうだまって見守るしかないのだよ」
ナウシカの大婆様は言うでしょう。

青梗菜の汁をすうハクサイダニ。アブラムシより動きは活発で人の足音を聞くと草陰に逃げるぐらい俊敏なやつらです。
このようにゾンビのようになって白く枯れていきます。先週までみずみずしかったのに…

思えばこの夏に緑肥をまいてすき込むなど丁寧に丁寧に栽培前の準備をととのえてきた畑。先週までは葉物の味も良く順調だったのですがまさに晴天の霹靂。
環境に優しい農業をしているのに何たる仕打ち!今年の酷暑のなか大事に大事に育苗してきた我が子たちがこのままゾンビのように死んでいくのかとおもうと、心の奥底で「いっそガソリンでも撒いて作物もろとも焼き殺してしまおうか!」と怒りすら感じるのです。
ネットでハクサイダニ対策を調べると農薬散布以外の方法として
◯寄生された作物は全て取り除く→燃やす。
◯周辺の雑草もすべて刈る→燃やす
◯卵で夏を越しているところを太陽熱処理→卵の段階で皆殺しにする。
なかなかの荒業です。それしかないのか…とおもっていると農業見学でお世話になった久保寺さんの記事を発見。久保寺さんも就農2年目でハクサイダニの爆発的被害にあわれていたようですが、太陽熱などの皆殺し対策はとらずに久保寺さん曰く
「現代は世界的に見れば人口増加時代ですので、効率よく食料を生産する技術の更なる発展もとても重要なものだと思いますが、生態系の神秘の世界を急激にかく乱してしまうような手法をとらないように努め、自然の仕組みや調整力を信じ、長期的なスパンで時間や労力を投資できるような農業の未来も同時に発展していけるといいなと思っています。」
(久保寺さんブログよりhttps://www.kuboderafarm.com/post/%E5%86%AC%E3%81%AE%E7%95%91%E3%81%AE%E7%94%9F%E3%81%8D%E7%89%A9%E3%81%9F%E3%81%A1
の考えで自然の自浄能力を信じ、翌年から被害を減らすことに成功されています。農を生業とする場合、まず生活していくことが優先となる中、なかなかこのような達観した視点で栽培に取り組める方は本当に尊敬できます。思えば原因を取り除き除外する方法は医学でいえばガンができたら切るという複雑な問題を極めて単純な形で取り除く対処療法です。しかし植物や畑や微生物、行き着くところ私達の生命自体すごく複雑なことが絡まり合い色々な現象がおこっている訳でそんな簡単な問題だったりしないことは本能で理解できます。ましてや自然農や有機農をやるというのは1+1=2といった単純計算ではなく、自然の複雑さを研究しうまく利用させてもらうという精神が根本にあるわけで、そここそがこの栽培の魅力であったります。

だめなものは取り除く。いいものだけを選んでいく。そんな単純なことでいいのか?ハクサイダニの出現により私のこころに芽生えた疑問。一瞬「ガソリンで燃やし尽くす」といったダークサイドにも落ちかけましたがジェダイの騎士久保寺さんに救われました。
ここは越えるべき壁が現れたと思って、なぜ発生したのか?観察をとおして原因を解明し、自然の自浄能力を信じて対応を探っていきたいと思います。