考えたこと

デコボコの人参はおいしいのか?

「スーパーで大きさの揃った人参より大きさがまちまちの人参のほうがなぜ高いのか?」
前者が農薬や化学肥料を用いた慣行栽培。後者が農薬をつかわず有機農家さんが環境のために手間をかけた有機野菜。これはある農政の方が有機農業の必要性の啓蒙のために紙芝居にして子供に教えた教材です。これに大規模で法人有機農業をされている徳本さんという方がツイッター噛み付いていました。その内容は
「大きさが不揃いになるのは生理障害であって有機や慣行の農法の問題ではない」と。
皆さんは有機農作物は農薬を使わないので形がわるいのは仕方がない。デコボコのほうが人参本来の姿でそちらのほうが美味しい、などと思っていたりしませんか?実はわたしもそう思っていました。しかし有機農業を勉強していくうちに、化学肥料にたよらない有機農法であっても形のそろった美しい人参をつくる有機農家もたくさんあることを知りました。また味は作物が健全に生育すれば美しくなるもので、デコボコ野菜が美味しいとか虫食い野菜がうまいなどというのは全くの嘘らしいです。


1970年代に農薬の危険が叫ばれ有機農業が消費者運動として広がりました。それから50年あまり。農業技術の進歩と農家の努力で農薬をつかっても安心安全な農産物が巷には出回っています。現在も農薬を毛嫌いする方は一定数いることは間違いありませんが、明確な健康被害のエビデンスがない今日そこだけをターゲットにするには市場が狭すぎます。また所得減少でなかなか野菜に倍の値段をはらう消費者も少なくなってきています。そうすると「有機農産物の価値とは?」現在の有機農業に携わる人達につきつけられる問題です。もちろん環境負荷や資源の輸入コスト、生態系の維持など有機農業の良い点はたくさんあります。しかしそもそも環境意識が希薄な日本ではそこはあまり期待できません。それゆえ現在第3世代といわれる有機農家たちは味や形も決して劣らない農産物をつくることで市場価値を高めようと努力しています。まず「おいしい」が先に来てその後に「地球にやさしい」がくる感じです。一方、慣行農法であっても緑肥の利用や低農薬など環境に配慮し、日々試行錯誤しているのも事実です。美味しさを追求する慣行農家になればなるほど1+1イコール2になるような単純な栽培方法ではなく有機にちかい複雑な要素を栽培に組み入れているとききます。
慣行栽培イコール農薬をバンバンつかい環境負荷が高い。有機栽培は地球にやさしい農業。こんな単純な二元論ではありません。子どもたちに教える教育だからこそ単純さではなく複雑さも交えながら問題定義し、これからの私達の食を一緒に考えていくようなスタンスがよいのかなと思ったりします。

(この教材の内容を全部見たわけではないので間違っていたらごめんなさい)